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読み物>用語集「あ」
- 藍 (あい)
- 秋に紅色の小花を穂状につける草木。 藍染めに利用される。
かつては北半球の湿地地域に広く栽培され、その種類も多い。
藍染めの歴史は古代エジプトにさかのぼるという。 特にインドの藍は良質として知られる。
日本の藍は中国原産の藍で四国の阿波が主産地である。
- 藍染め (あいぞめ)
- 藍で染色する染色方法。
藍の葉と茎から染料を作るが、現在はインチゴと呼ばれる合成染料で染色している場合もある。
- 藍下染め (あいしたぞめ)
- 藍で下染めをすること。
- 揚げ (あげ)
- 肩揚げや腰揚げの略語
- アセテート (あせてーと)
- 木材繊維と酢酸セルローズの半合成繊維で、通称化学繊維と呼ばれる。
染め上がりがきれいなことから訪問着や小紋、裏地などに用いられる。
- 後染め (あとぞめ)
- 先染めに対する言葉で、布地を織り上げてから染めること。
- 雨コート (あまこーと)
- 雨天時に着用するコート。 長着が濡れるのを防ぐのに着用する。
- 洗い張り (あらいはり)
- 着物を解いて反物状にし、張り板と呼ばれる板の上で生地を洗濯する方法。
- 袷 (あわせ)
- 単衣に対して裏地を付けている着物や帯のこと。
- アンサンブル (あんさんぶる)
- 着尺と羽尺に同じ生地を用いて仕立てること。 また、統一された調和美のある対のきもののこと。
- 居敷当て (いしきあて)
- 単衣の着物の裏の尻にあたるところに付ける布のこと。
たるみを防ぎ、補強する目的で使用する。
- 市松模様 (いちまつもよう)
- 白と黒の正方形を碁盤目状に配置した模様のこと。
- 一色染め (いっしょくぞめ)
- 他の色を混ぜないで一色だけで染める染色方法。
きものでは色無地などが一色染めである。
- 五つ紋 (いつつもん)
- 紋の配置法。
きものの背中に1つ、両胸2つ、両袖2つ、の計5つの紋を指す。
礼服などに付ける最も格式の高いものである。
- 色かけ (いろかけ)
- →色はけ
- 色止め (いろどめ)
- 主に水分の影響で地色の染料が落ちるのを防ぐ加工。
- 色留袖 (いろとめそで)
- 黒地以外の留袖のこと。
- 色抜き (いろぬき)
- 染めてある染料を抜くこと。
染め替えなどをする場合に行われる。
- 色はけ (いろはけ)
- 部分的に地色を染料で補正すること。
- 色無地 (いろむじ)
- 黒以外の色で一色染めをした着物のこと。
- 改まった外出や、パーティーなどに訪問着の代わりに着て行ける着物で、五つ紋を付ければ礼服に、
1つ紋で縫い紋を入れれば略礼服として、訪問着では改まりすぎると思われる場合などに着る。
その他、おめでたい席、また帯を変えれば弔事の装いにもなる。
- 色やけ (いろやけ)
- きものの色(染料)が変色したり薄くなってしまった状態のこと。
長時間に渡って着物が日光や蛍光灯の光にさらされると、染めてある染料が光の影響で変質してしまう。
軽度であれば色はけで修正が可能である。 →やけ直し
- 祝い着 (いわいぎ)
- 祝い事のときに着る着物である。 子供の七五三や還暦のときに着用する。
- 後身頃 (うしろみごろ)
- 身頃でも身体の後ろに当たる部分をこう呼ぶ。
- 内上げ (うちあげ)
- きものの仕立て方法の一つ。 内側の隠れる位置に上げをすること。 また上げをした着物。
- 打掛 (うちかけ)
- 装束の上につけた袖のない衣。 帯をしめた上に打ち掛けて着る衣装。
かいどり、かけとも呼ばれる。
- 打ち込み (うちこみ)
- 織物の緯(よこ)糸の密度のこと。
「打ち込みが強い」とか「打ち込みが甘い」というように風合いを表現する。
- 打紐 (うちひも)
- 組紐とともに帯締として用いられる。
紐を組むとき、ヘラや小太刀を用いて打ち込みながら締めるところからいう。
- 裏打ち (うらうち)
- 布地の裏に紙や布を貼ること。 布地に張りをもたせたり補強を目的とする。
絞り染めの仕立てなどに用いる。
- 裏衿 (うらえり)
- きものの衿の裏に縫いそえた布。 女物の長着を広衿に仕立てるときに付ける。
男物の袷の場合は、衿の形を整える衿芯として用いる。
衿裏ともいう。
- 裏地 (うらじ)
- 袷のきものの裏につける布地。 保温の目的や、表地に厚みをもたせて外見をよくするために用いる。
裏地の種類には胴裏、羽裏、裾回しがあり、それぞれ専用の物がある。
表地より薄く、滑りの良い布が適している。
- 上絵紋 (うわえもん)
- 一般的には石持に書き入れる家紋のことや、その形態のことを指す。
- 上前 (うわまえ)
- きものを着て前を合わせたとき、上になる部分。
模様や柄が1番目立つ重要な部分である。
- 越後上布 (えちごじょうふ)
- 新潟県の小千谷地方一帯に古く伝わる平織の麻織物。
元来、布は麻を意味するものであり、上布は上等の麻織物のことである。
材料は、苧麻(からむし)を用い、指先で細い糸につむぎ、織り上がった布や糸は積雪の上にさらすので、越後の雪さらしの名で知られる。
絣と縞柄を主とし、盛夏の先染着尺地として1級品である。
平織りのほかに、縮地のものを小千谷縮や越後縮という。
古来の伝統技術によるものは「越後上布、小千谷縮」として重要無形文化財に指定されている。
非常に薄地で、1反の織物が穴のあいた銭の中を通るほどである。
- 越後縮 (えちごちぢみ)
- 小千谷縮と同じ。 新潟県小千谷市一帯に古くからある縮織の上布。
- 江戸小紋 (えどこもん)
- 最近の小紋に対して古典的な小紋のこと。 一色染めの単彩な小紋。
- 絵羽 (えば)
- きもののの縫い目にまたがって模様や柄があること。 また、そのきもののこと。
きものを広げると1枚の絵になる。
絵羽のきものには、振袖、留袖、訪問着などがある。
- 衿/襟 (えり)
- きものの襟首をかこんで前に交わる細長い部分をいう。
衿には地衿(本衿)と掛衿があり、掛衿には長衿と半衿がある。 また棒衿、撥衿、広衿がある。
- 衿裏 (えりうら)
- →裏衿
- 衿肩あき (えりかたあき)
- 背縫いの衿に接する所から左右の肩にかけた部分を衿肩と呼び、襦袢、長着、羽織などに、衿を付けるため肩の部分を切りあけた部分のこと。
えりかたあけとも呼ばれる。
- 衿先 (えりさき)
- きものの衿の下の端。
- 衿芯 (えりしん)
- きものの衿の中に芯として入れる布。 長着の衿は三つ衿の間にだけ入れ、羽織の衿は全体に芯を入れる。
- 衿丈 (えりたけ)
- きものの一方の衿先から他方の衿先までの長さ。 また、背から衿先までの長さのことをいう。
- 衿ふき (えりふき)
- きものの衿を溶剤などで洗うこと。
- 黄変 (おうへん)
- 生地が黄色く変色した状態である。 汗じみを処理しないで放っておくと黄変することが大半である。
黄ばみとも呼ばれる。
- 大島紬 (おおしまつむぎ)
- 略して大島ともいう。 鹿児島県の奄美大島の名瀬市周辺で織られた紬をこう呼ぶ。
- 衽 (おくみ)
- きものの構造上の一部の名称。 きものの左右にあって、上は衿につづき、下は褄までの幅の短い部分。
- 衽下がり (おくみさがり)
- 着物の前身頃の肩から衽の先までの寸法をいう。
- 衽先 (おくみさき)
- →剣先。
- おしぼり (おしぼり)
- 生地を傷めてしまう原因の上位にあるのがこの「おしぼり」。
きものにしみが付いたからといって慌てておしぼりで擦ってはいけない。
- 小千谷縮 (おじやちぢみ)
- 新潟県の小千谷市の周辺で生産される麻縮で越後縮ともいう。
原料の苧麻(ちょま)は会津や最上地方のものが用いられる。 無地、縞、絣があり、肌触りが涼しいので夏の着尺地や蒲団地に用いられる。
越後上布とともに重要無形文化財に指定されている。
- おしゃれ紋 (おしゃれもん)
- 本来の家紋にこだわらず、自分でデザインした紋や模様のこと。 また、それを入れる紋入方法。
- お太鼓 (おたいこ)
- 帯の結び方の1つ。 また、お太鼓に結んだ部分。
- 男紋 (おとこもん)
- 女紋に対する男紋で、男物のきものに入れる紋である。
男紋との違いは大きさで、男紋はおよそ1寸(38ミリ)である。
なお、一つ身などにも男紋を入れるが、この場合の紋の大きさはひとまわり小さくなる。
- お端折り (おはしょり)
- 対丈でない普通の女のきもの。
身丈より長い部分を、腰の所で紐でたくし上げて締め、そのたくし上げた所をいう。
- 帯 (おび)
- 帯は帯揚げ、帯枕、帯締めなどの付属品を用いて身体にまとい結ぶものであるが、
きものを身体に固定させるという機能面よりも、きもの姿を美しくするための重要な役割を果たしている。
長さ4メートル、幅30センチ。 これがだいたいの帯の大きさである。
- 帯揚げ (おびあげ)
- 結んだ帯の形をささえて結び目が下がらないようにするために使う小布。 帯の付属品である。
せおいあげ、しょいあげともいう。
- 帯締め (おびじめ)
- 帯が解けないように帯の上に締めるひも。 普通は打紐や組紐を使うが皮製もある。
帯を結ぶ小道具であるが、装飾的な意味も強く、きもの姿の中で小さいながら重要である。
- 帯芯 (おびしん)
- 帯の表と裏の間に入れる芯地。 帯をしっかりと張りを持たせる為に入れる。
- 帯枕 (おびまくら)
- 帯揚げの中に入れて帯の形をととのえるもの。
- 御召 (おめし)
- 先染め絹織物として最高級品であり、昔から愛好されるのは、布地が縮緬地になって美しく高貴なためである。
糸の状態で精錬し染色するので、織り上がった地風いは普通の縮緬よりやや硬くなる。
緯(よこ)糸に強い撚りをかけて織り、織り上がってから温湯につけると撚りが戻って幅がせまく縮み、布面にいわゆる縮緬シボと称するデコボコができる。
これを巾出しすると完成する。
原料の糸も上等のものが使用され、また出来上がった布地のシボに光線があたると、乱反射して深みのある美しさが表れる。
羽二重も絹織物としては上等品であるが、シボ立ちがないので地風は平凡である。
- 女紋 (おんなもん)
- 男紋に対する女紋で、女物の着物に入れる紋である。
男紋との違いは大きさで、女紋はおよそ5分5厘(21ミリ)である。
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